以前、こちらの記事で寄付型クラウドファンディング プラットフォーム(投げ銭サービス)の変わり種として、 Ko-fi と Buy Me a Coffee という2つのサービスを紹介しました。
これら投げ銭サービスを日本で使用する場合、資金決済法の個人間送金が関わってくるという内容を、
こちらの記事で見つけることに。
今回、コーヒー代を受け取ることができる投げ銭サービスは、法的に問題がないかという事を焦点に調べてみました。
なお、私は法律の専門家ではない為、間違った解釈があるかもしれません。もし有識者の方がいらっしゃいましたら、やさしくご指導いただけると幸いです。
- コーヒー代を受け取る投げ銭サービスのユーザーの方
- その他、食べ物や飲み物系の代金を受け取る投げ銭サービスを利用している方
投げ銭機能を含むサービスを日本で使用する条件
ネットで調べてみると、投げ銭機能(収益化が可能となる機能)を含むサービスは、
- 資金移動業に登録しているサービス
- 資金移動業の登録を回避可能なサービス
という2つの内、どちらかの条件に当てはまると使用できるとのこと。
条件1. 資金移動業に登録しているサービス
2024年4月現在、条件1の代表的なサービスは、「PayPal.Me(ペイパルミー)」です。
こちらの公式ページでも「日本国金融庁に第二種資金移動業者(関東財務局長第00026号)」および「前払式支払手段第三者型発行者(関東財務局長第00705号)」の2つが登録されていることが確認できます。
条件2. 資金移動業の登録を回避可能なサービス
条件2 の代表的なサービスは下記の通り。
- YouTube(ユーチューブ)
説明が不要なぐらい普及している動画投稿プラットフォーム。
広告費用以外にもライブ配信で視聴者が使用できるスーパーチャットでプラットフォーム経由で配信者に分配金が支払われます。
このスーパーチャットは、視聴者のコメントが色付きで投稿可能で、配信者にコメントを読み上げてもらえる事を付加価値としているようです。
- SHOWROOM(ショールーム)
ライブ配信のプラットフォーム。
利用者はライブ配信者に対してデジタルコンテンツの「ギフト」を贈ることが可能です。
ライブ配信者は視聴者が贈ってくれたギフトに応じて報酬を得られる仕組みとのこと。
- Kyash(キャッシュ)
プリペイド式の決済プラットフォーム。
アプリに現金やクレジットカードからチャージしておけば、 ネットの支払いなどで使用可能とのこと。
- Zenn(ゼン)
エンジニアのための情報共有コミュニティで技術的な記事を投稿可能するプラットフォーム。
こちらの通り、私も利用中です。
Zennでは、大きくわけて2つの方法で収益化が可能です。
1つ目が「技術情報の記事に対する評価としてバッジを受け取ること」
このバッジは、読者が有償で購入可能。著者がバッジを受け取るとプラットフォーム経由で分配金が支払われます。
2つ目が「本を有償で販売すること」
読者が本を購入した場合、バッジと同様にプラットフォーム経由で分配金が発生。
なお、2024年4月現在、記事を有償とする機能はなく、本は無償で公開可能です。
- note(ノート)
ジャンルを問わず、さまざまな記事を投稿できるプラットフォームです。
noteでは、大きくわけて下記2点で収益化が可能となります。
1つ目が「有償記事や音声記事、画像、動画、ファイルというコンテンツを販売する方法」
2つ目が「コンテンツに対し追加課金する事でクリエイターを応援するサポート機能」
なお、2つ目のサポート機能を使ってもらおうとユーザーに 寄付 や 投げ銭 を呼びかけるのは、規約違反になるとのこと。
参考情報:「寄付」や「投げ銭」を呼びかけてnoteのサポート機能を使うのはNG|よぴ【YOP】WEBで生きている人
これらサービスで個人間の送金はなく、一度ポイントに置き換えプラットフォーム側は仲介するケースや、
コンテンツに対する購入料金するケースなどが資金移動業に登録しなくてもよい条件のようです。
日本でコーヒーをおごってもらう投げ銭サービスは使用可能か
結論から書くと、コーヒーを奢ってもらえるサービス、Ko-fi や Buy Me a Coffee は、「運用方法によって使用可能である」と思われます。
以降より調べた内容を共有します。
法的な問題は見当たらない
Ko-fiについて詳しく紹介されているこちらの記事の内容よると、
「寄付」ではなく、アプリの開発者に対して「コーヒーをおごる」「ビールをおごる」ボタンを作り、利用者がクレジットカードなどで決済できるようにすれば、個人間送金には当たらないのでは?
とお尋ねしたところ、
引用元:コーヒー1杯で支援するサービス「ko-fi」と、開発者がコーヒーを奢られる仕組みの話法的な問題は見当たりません。
というような回答が弁護士ドットコムであったとの事です。
NGとなる例
この記事を参考にNGとなるケースは、
- コンテンツの制作・提供をしない
- 受け取った収益の利用目的も明確でない
- ただ寄付を募集する
といういずれかに該当してしまった際、おそらく個人間の送金とみなされてしまうでしょう。
より具体的な例をあげると、
「世界の貧しい人々に対して援助するため、寄付を募集します!」
というような運用方法だとおそらくNG。
一方、私の場合はクリエイターとしてプログラムや記事を制作しているという過程があり、
それらコンテンツを評価いただいた結果、コーヒーをごちそうになるという運用の場合は OK だと解釈しました。
結論
あらためてまとめると、Ko-fi や Buy Me a Coffee というコーヒーを奢ってもらう投げ銭サービスは、
- クリエイターとしてコンテンツを制作し提供
- コンテンツに対する評価として受け取る
- “自身へのコーヒー代に使用”というように利用目的が明確で限定的な使用方法
という3つの条件すべてに合致するのであれば、問題なさそうという結果に。
まぁ、これとは別に自身が超人気インフルエンサーで大金を受け取ることとなった場合、税金(贈与税)などの課題も発生しそうですね。
Ko-fi のアカウントを作成し運用を始めてからサポートの件数は0件でまったく心配する必要はありませんが、
今後のことを考えると運営の透明性を高める必要がありそうです。
一つの案ですが仮にサポートが発生した場合、X – エックス[
]でコーヒーを購入したこと(場合によりコーヒーやレシートの画像)をポストした方が良いかもしれませんね。さいごに . . .
ここまでまとめてみた結果、寄付やドネーションなどお金まわりの法律は複雑で難しいと感じました。
一方、世界・海外ではオープンソースや個人クリエイターの動きが活発で、その活動できる土台もあると認識していますが、
日本にはまだ土台が整っていないという感覚があります。
日本におけるデジタル化(IT化)遅れの要因として、日本の法律が時代に追いていないという事が言えるでしょう。
先日、Microsoftが日本国内のインフラに投資したというニュースもあり、確実にAIの波が日本にも来ています。
この良い波に乗りきって、ぜひともクリエイターが活躍しやすい良い法律が制定されていく事を願っております。
コメント